困り感を、なかったことにはしないでほしい~発達障害というあいまいな概念をどう捉えるか⑥~
発達障害の特性があることや、特性によって困っていることを伝えると、相手からよくこう言われます。
「物忘れ?誰にでもあるよ。」
「ミスが多くて仕事がうまくいかない?大丈夫。誰でも最初はそんなもんだよ。」
勇気をもって伝えたのに、
こちらが「うーん、そうかなあ。」と腑に落ちない。
肩透かしを食らう。
そういった経験がある人も多いと聞きます。
ほとんどの場合、これらは善意で言ってくれる言葉です。
しかも、「物忘れがあること」や、「ミスをして仕事がうまくいかないこと」自体は、誰にでも起こりえます。全く珍しくないのです。
でも、大事な物を頻繁に忘れ、日常生活に支障をきたしたり、お客様の信頼を失うような重大なミスを何度もしてしまうのなら、それは「誰でも」「誰にでも」あるとは言えなくなります。
一緒に生活や仕事をしなければ分からないことも。
だから、もし特性の事を伝えるのなら、「誰に、どのように」伝えるかというのは、ものすごく大事な問題です。
話す側は、
・理解・配慮を求めたい人に、信頼できる人に
・自分が困っていることや工夫していること、配慮して欲しいことを「具体的に」
伝える必要があります。
これがなかなか難しい。
伝える相手がどれだけ発達障害のことを知っているかによりますが、「さらっと言っただけで簡単に伝わる」ものではないと思っています。
聞く側も、
「ふうん、そうなんだ。こういうタイプの人もいるのか。」とちょっとでも関心を向ける。
今、その人が困っている事をうやむやにしたり、なかったことにしたりしないで欲しいのです。
発達障害関連の本ではありませんが、この本の中身はもちろん、タイトルがとても気に入っています。
特性があるかどうかに関係なく、人は誰でも自分の気持ちをわかって欲しい。
「理解という名の愛がほしい」のです。
特性がある人と、そうでない人。
話をする人と聞く人。
両者がもっと歩み寄ることができれば、色んなことがもっとよくなるのだろうと思います。
先述の通り、簡単ではありません。
こうやって書きながら、僕も全然できない事が多いです。
でも、考え続けていきたいテーマの一つだと思っています。
記事のタイトル「困り感を、なかったことにはしないで欲しい」は、関東で発達障害やグレーゾーンの会を主催しているオムさんが言われていた言葉です。
【参考】
many-pastel-color.hatenadiary.com
まさに自分もそう思っていて、今日の記事にしました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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